LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
鈴蘭さんが眉をひそめた。
「でも、今、朱獣珠は長江先輩がきちんと管理しているでしょう? それに、問題になっているのは、文天堂さんの黄帝珠です。
わたしは、四獣珠のことは母から聞いて知っていました。ただ、五番目の色を司る宝珠があるなんて、母も知らなかった」
母が先代の青獣珠の預かり手だったんです、と鈴蘭さんは付け加えた。
瑠偉がまた口を開いた。
「黄帝珠の出所は、たぶん、文天堂家の蔵ん中だ。あの家、けっこう古くて由緒正しいらしい。昔は奇跡のチカラを操ってたとか何とか、伝説があるしな」
「それじゃあ、瑠偉、なぜ今さらになって、そのチカラが再び表に現れたんです?」
疑問を発したぼく越しに、瑠偉は理仁くんを見据えて言った。