LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「襄陽の長江理事長が、この一年間、宝珠のことを調べまくってた。派手な動きだったおかげで、あっという間に足取りがつかめたよ。
三月に長江理事長が文天堂家を訪ねてる。文天堂家に宝珠があるはずだから譲ってくれ、って」
文天堂家は「宝珠はない」と答えた。
「破壊された」という記録を持ち出して、長江理事長を納得させたらしい。
その記録を撮影したデジタルデータを、瑠偉は入手済みだった。
地元の地方大学のライブラリに、件の古文書の写しがあったんだ。
筆書きで、漢字とカタカナの交じったものだ。
紙の材質も古めかしい。
何となく、戦前のものだろうかと感じた。