LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「そのとおりだ。中央は、流れから取り残されて淀みやすい。そんな性質がある。
そしてもう一つ、方位のほかに、四対一の組み合わせを挙げよう。人間に備わる感情を表す四字熟語は、何だ?」
質問に、さよ子さんが挙手して答えた。
「喜怒哀楽!」
「では、もう一つ、人間の中にある強い感情を挙げるとすれば?」
「恋!」
「さよ子、少し黙っていなさい」
「恋じゃないの?」
「残念ながら、そうキラキラしたものではないよ」
理仁くんが答えを出した。
「怨《うら》み、でしょ?」
「正解だ、理仁くん。知っていたのかい?」
「いや、それこそ直感ってやつ」