LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
唐突に、煥くんが立ち上がった。
違う。浮き上がった。
「なっ……お、おい、何だこれはっ!」
煥くんは不可視の十字架に張り付けられた体勢で、天井まで吊り上げられている。
両手のこぶしの形が硬い。
歯を食いしばる表情。
力を込めて抵抗している。
【なかなか力が強いね。高校生の男の子は体力があってうらやましい】
「ふざけんな! 離せよ、おい! くそ、障壁《ガード》も封じやがって!」
【このとおり、私は割と何でもできるのだよ。肉体そのものは、普通の人間だがね】
さよ子さんが割り込んだ。
「普通の中年オヤジよりは、体、シュッとしてるよ! パパ、鍛えてるもん」
意味が若干ズレている。