LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
鈴蘭さんの指摘で、みんな煥くんを見上げた。
煥くんの端正な顔に汗が伝っている。
ひそかに暴れ続けていたらしい。
総統の拘束は筋力でどうにかなるものじゃないのに。
【じゃあ、放そうか】
天井の高さにある煥くんの体が、ふっと支えを失う。
息を呑む気配と短い悲鳴。
けれど、当の煥くんは身軽に宙返りして、床に降り立った。
「危ねぇな。普通ならケガしてるぞ」
普通じゃない身体能力の煥くんが、平然と言い放つ。
天沢さんもまた平然として、総統のそばに立った。
「失礼いたします、総統。テーブルのセッティングをいたしますので、肘をどけていただけますか?」
「ああ、これはすまない」