LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「数字がうじゃうじゃすぎて食欲が失せるっていうか。米が何粒あるのか、表示されるんだね~。表面に見えてるぶんと、全体の推定の数。目ぇ凝らしたら、温度まで見えた」
そう、食卓上の光景は、ぼく本来の視界とって、かなり疲れるものだ。
粒や繊維の形状をした食べ物には、その個数が表示される。
温度や体積も、見ようとすれば見える。
「茶碗だったら、持ったときに重さも見えますよ」
「だよね。昼飯でサンドウィッチの重さが表示されてビビった」
「小麦粉の粒子が見えないぶん、パンがマシでしょう? 素材の形がなくなっている食べ物のほうが、疲れないから好きです。
固形のバランス栄養食とチョコレートでカロリー補給することも多いですよ」
「海ちゃんって、ガンガンの理系じゃん?」
「リヒちゃんは、文系ですか?」
ふざけた呼び方を、思い切ってまねしてみた。
一瞬、理仁くんが目を見張って、それから笑った。本物の笑顔だった。