LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
語弊のある言い方をして、理仁くんは歩き出した。
ぼくは理仁くんに並んだ。
「ぼくと同じ立場なら、男は誰でも同じことしましたよ。美人が不良にナンパされてたら、助けるでしょう?
その美人に、時間つぶしに付き合ってと言われたら、応じるでしょう? ぬいぐるみを取ってほしいとリクエストされたら……」
「リア充爆発しろ~。って、ダジャレのつもりないんだけど」
イヌワシが振り向いて、理仁くんをにらんだ。
部屋の壁は木製タイルでできている。
イヌワシは、その一角に飛んでいって、タイルを押した。
タイル四枚ぶんの正方形が隠し扉になっていた。
正方形は、一辺が約800mm。扉と呼ぶには狭いけど、通れなくはない。