LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


丘のふもとから、駆けてくるものがある。


動物たちだ。


犬が数頭、猫も数匹、フェレット、ハムスター、トカゲ。


金魚や熱帯魚の群れも、宙を泳いでやって来る。



【来ちゃダメだ!】



ぼくの声に、数秒間、動物たちが止まる。


焦れたように、両手が「おいでおいで」と手招きをする。


動物たちが再び動き出す。



来ないで、来ちゃダメ、と彼女が叫んでいる。



動物たちは次々と、巨大な手のひらの上に乗った。


動物たちが乗れば乗るほど、手のひらが広くなっていく。


青草の原っぱに落ちる影も広く、黒々と濃くなっていく。



ぼくは体が動かなかった。


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