LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「あれは、鈴蘭さんのチカラ……」
ぼくの言葉に、煥くんがうなずいた。
「傷の痛みを引き受けることで、その傷を治すんだ。だから、治せる傷は、その痛みを引き受けられる範囲だけ。
痛ぇはずなんだよ、今。あいつ、リアさんに笑ってやってるけど」
何で、と理仁くんが繰り返した。
不思議そうな表情は、今まででいちばん幼く見えた。
鈴蘭さんが、目尻に涙のにじむ笑顔で答えた。
「リアさん、ずっと痛かったんでしょう? ペットちゃんたちのことは喜びの記憶で、大切だったはずです。
痛くても、いつも思い出してたんですよね? だから、こんなふうに鮮やかに覚えてる。わたしも一緒に、この記憶を大切にしてあげたいんです」