LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


「あれは、鈴蘭さんのチカラ……」



ぼくの言葉に、煥くんがうなずいた。



「傷の痛みを引き受けることで、その傷を治すんだ。だから、治せる傷は、その痛みを引き受けられる範囲だけ。

痛ぇはずなんだよ、今。あいつ、リアさんに笑ってやってるけど」



何で、と理仁くんが繰り返した。


不思議そうな表情は、今まででいちばん幼く見えた。



鈴蘭さんが、目尻に涙のにじむ笑顔で答えた。



「リアさん、ずっと痛かったんでしょう? ペットちゃんたちのことは喜びの記憶で、大切だったはずです。

痛くても、いつも思い出してたんですよね? だから、こんなふうに鮮やかに覚えてる。わたしも一緒に、この記憶を大切にしてあげたいんです」


< 251 / 415 >

この作品をシェア

pagetop