LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


リアさんを追って歩き出しながら、理仁くんは笑った。

乾いた笑いは、つらければつらいほど出てくるんだろう。



「確かに代償として、おふくろはこんなふうになった。でも、親父が願ったわけじゃねぇんだゎ。おふくろ本人なの。

学園経営がすげー財政難に陥ってさ、そしたら、おふくろ、自分で願った。自分の身はどうなってもいいから、って」



なぜ? 自分を犠牲にしてまでも財産を守りたかった?



理仁くんは懐中時計を取り出して、文字盤に視線を落とした。


ぼくの位置からも文字盤が見えた。


半分以上が暗転していた。


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