LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


「別の一枝も同じなのか?」


「あっきー、何でそんなん訊くの?」


「平穏なのが宿命の枝があれば、そっちに行きゃいい。見てくるだけでも、気分、違うだろ」



煥くん自身がそうしたいのかもしれない。


よその一枝の自分が、この自分より幸せであるなら。


入れ替わりたいわけではなく、ただ見てみたい。


その言葉はキレイだ。


でも。



「そんな一枝は、ないに等しいと思いますよ」



総統から聞いた話のほうが説得力がある。



「ないって、海ちゃん、何で?」


「平和な自分を本当に見てしまったら、入れ替わりを望みますよ。結果、対象の二本の枝は生長を阻害し合う。

入れ替わりではなく、呑み込みが起こる。あるいは、両方の枝がともに消滅してしまう」


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