LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


そもそも、平和な一枝の存在確率はきわめて低い。


多数にあるという一枝は、もとは一本からのクローンだ。


同じ宿命を持ち得る可能性のほうが圧倒的に高い。



煥くんが、ふっと息を吐いた。


笑いを洩らしたらしい。



「希望を持たせねぇんだな。あんたらしくて、かえって安心する」



煥くんの言葉に、ぼくも少し笑った。



「宝珠のチカラを使えば、一枝に干渉できるでしょうね。別の一枝を引き寄せたり、この一枝の過去に戻ったり。

でも、そこでぼくたちのできることは、壊すことだけですよ。万物は法則性と均衡の上に成り立っている。それを壊すだけが、強すぎるチカラの宿命です」



だよね~、と理仁くんが抑揚もなく言った。


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