LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「オレにとっての歌が、今苦しんでる人にもあればいいのに。オレにとっての兄貴やバンドみたいな存在に、殻に閉じこもってる人も気付けたらいいのに。
他人のことは、よく見えちまうんだよな。自分のことは全然わかんねぇくせにさ」
煥くんは静かにそう言って、ぼくと理仁くんを振り向いた。
ぼくはリアさんを見つめた。
【正直な顔は初めてだ】
美しい、と思った。
【ギリギリの表情をしたあなたはキレイだ。強がりも愛想笑いもいらない】
あふれ出る声を、ぼくはあえて止めない。
心で感じるままに言葉をアウトプットするなんて、普段のぼくにはできない。
そんな能力を持たないし、見栄やポーズが邪魔をする。
でも今は、この上なく率直な声が、ぼくにある。