LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
唐突に背後から轟音が聞こえた。
振り返る。
ゴウッと音をたてて、水が押し寄せてくる。
廊下が、まるで水道管だ。
膨大な量の水が迫ってくる。
「下がれ!」
煥くんが水の来るほうへ飛び出した。
片膝を突いて、床に両方の手のひらを触れる。
手のひらが白く光り出す。
白い光は障壁《ガード》だ。
面を為す光が、床から天井へと垂直に展開する。
「四角は難しい」
煥くんがつぶやく。
以前に見た障壁《ガード》は、三次元構造に対応しやすい正六角形だった。
それが原形なんだろう。
床から天井まで、壁との隙間もなく、ぴっちりと障壁《ガード》が廊下をふさいだ。
次の瞬間、水が、白く発光する面に到達する。