LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


水は障壁《ガード》に触れる前に、シュワシュワと蒸発する。


いや、分子分解されているんだろうか。


理仁くんが、白い光越しの水に目を凝らした。



「水が98%、あとは、生体由来のタンパク質とリン酸とか。弱アルカリ性。たぶん、その水は涙だ」



頭に軽い衝撃を感じた。


イヌワシが翼で打って、ぼくの注意を引いたらしい。


彼は白い花束の絵へと飛び、その左辺の一点を押した。



絵が、向こう側へと開いた。



「隠し扉!」



煥くんが障壁《ガード》を維持して正面を向いたまま叫んだ。



「先に行け!」


「あっきーは?」


「リアさんが一緒に向こうに行けるようなら、オレも行く」



ぼくは、白いパンツスーツ姿のリアさんを見た。


リアさんはかぶりを振った。


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