LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
どこを向いても、いろんな角度の自分が鏡に映っている。
正確な像、歪みのある像、倒立した像。
赤いライトがともされた小部屋。
バラバラの人形が置かれた、合わせ鏡の空間。
【鏡への執着? リアさんも、笑顔を鏡で練習したのか?】
「それもあるとは思うけどね。でも、姉貴は、もっといっぱい鏡見てるよ。
昔から髪いじるの好きだったらしいし、子どものころはバレエやってたし、けっこう早くから化粧してみてたし」
「なるほど」
理仁くんの歩みが少し鈍った。
小さくかぶりを振った理仁くんは、歩くペースをもとに戻す。
でも、発せられた言葉は口調が鈍い。
「あのさ、海ちゃん……あのさ」