LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「海ちゃんさ、それ、本気で言ってくれてる?」
「当然です」
「万一、ほんとにおれが怨みの発生源だったら?」
「全力でフォローして帳尻を合わせますよ」
「海ちゃん」
「はい」
「ありがと」
ちょうどのタイミングで、大きな鏡の扉が行く手に現れた。
扉を開けた向こうは、もう迷路ではない。
ただの通路だった。
ぼくは、理仁くんから預かったままの懐中時計を取り出した。
理仁くんに渡そうとしたら、押し返された。
「海ちゃんが持ってなよ」
「わかりました」
懐中時計をポケットの中に収め直す。
文字盤が真っ暗になったら、一体、何が起こるんだろう?
いや、考えちゃいけない。
早くココロの最奥部に到達して、脱出を勝ち取るだけだ。