LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


能力者の彼が美人な彼女の前で平然と四獣珠の話を出したということは、彼女も四獣珠について知っているわけだ。


彼女に対しては、玄獣珠は反応しない。


彼女は能力者ではないはず。じゃあ、何者?



彼は友好的に、ぼくに右手を差し出した。



「おれ、長江理仁《ながえ・りひと》。この制服を見てのとおり、襄陽学園に通ってて、三年だよ。きみ、大都高校だよね。その校章の色、三年じゃないっけ?」



彼の瞳孔は位置も形も安定している。視線がブレない。


悪意や虚構がない表情、と言っていい。


ぼくは彼の右手を握った。



「大都高校三年の阿里海牙《あさと・かいが》です」


「イケメンだね~」


「きみもね」


「そりゃどうも。で、能力者なんだよね? どんなチカラ、持ってんの?」


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