LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


ぼくは軽く肩を回して、股関節のストレッチをした。


膝と足首の関節を振って、無駄な力を抜く。



「海ちゃん、体、すげぇ柔らかいね」


「柔らかくないと、理想値どおりに動かないんです。ケガも増えるしね」



気楽に笑ってみせて、赤外線センサーのエリアに足を踏み入れた。


頭上には、矢。


左右の壁の装置が光を照射しているのがわかるのに、見えない。



情報不足への不安はある。


それを補うのは、理仁くんへの信頼だ。



「基本、左右の壁から壁に糸が張ってある感じ。高低差はあっても、奥行き方面に斜めってるのは少ない。

まず、50センチ前方に一本、高さ約120センチのがある。それくぐったら、25センチ先に、高さ40センチ」



慎重に、250mmずつ進む歩幅。


不可視光の直線をくぐり、またぎ、跳び越す。


< 301 / 415 >

この作品をシェア

pagetop