LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「そこ、斜めになってる二本、交差してる」
「二本の傾きを二次方程式で言ってください」
「あー、片方がy=0.3xで、もう片方がy=-1.1x」
「それの交点が、ぼくの右の人差し指から30センチ先?」
「ジャスト30センチ先」
失敗できない。汗の量がすごい。
即席の座標で確認し合う。
向かって左手の壁と床の交点を原点として、センチメートル刻みの目盛がある、という想定。
奥行きは、ぼくの目がある平面を0として。
「点(597, 136, 45)に三本集まってる。で、下にも一本あって、くぐるの厳しいかも。その高さ、助走なしで跳べる?」
「余裕です」
見えなくても、見えている。
力を貸してくれる人がいれば、前に進める。