LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
答えるためには勇気が必要だった。
「わかりました」
そう答える以外、何ができるだろう?
理仁くんのお願いの重みを、ぼくはきっと、すべては受け止めていない。
受け止める資格があるのか、自信があるとは言えない。
【でも、ぼくが行かなければならない。ぼくは、行きたい】
理仁くんに背を向けて、扉に手を掛けた。
何か言葉をくれるんじゃないかと思って、少し待つ。
理仁くんは黙っている。
ぼくはドアノブを回して扉を押した。
暗い階段が伸びる先に、漆黒の扉がある。
イヌワシがふわりと飛んで、階段を下り始めた。