LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「すっげ~、正解! んじゃ、姉貴のスリーサイズは?」
理仁くんが言った瞬間、彼女がエナメルのバッグの角で、理仁くんの頭を殴った。
痛そうな音がした。
スリーサイズくらい、一瞬でわかる。
対象を三次元的に観測すれば、後は中学数学レベルの計算式を解くだけだ。
でも、さっき、スリーサイズという言葉よりビックリな単語が聞こえたんですが。
「姉貴、ですか?」
思わず無遠慮に見比べて、なるほどと納得した。
髪の色も目の色も似ているし、顔立ち全体の数値もかなり近い。
鼻筋から瞳までの距離、小鼻の角度、唇の稜線。
能力者の姉なのか。
だから、四獣珠のことを理解している。
「わたし、弟と待ち合わせって言わなかったっけ?」
「聞いていません」
「もしかして、これがわたしの彼氏だと思った?」
「ええ、まあ」
「ちょい待ち、姉貴。これっていう指示代名詞はひでーんじゃない?」
「十分でしょ」
「やだもう意地悪~。おれ拗《す》ねる~」
「ええい、鬱陶《うっとう》しい」