LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
ぼくは声を張り上げた。
「核への到達は全員でなければならない、との条件はなかったしょう? 制限時間内に、ぼくはここに至りました。このゲーム、ぼくたちの勝ちです」
ポケットから取り出した懐中時計の文字盤は、三百五十度以上が暗転している。
ぼくはそれを祥之助のほうへ放った。
無駄のない放物線を描いて、懐中時計は祥之助の手に収まる。
祥之助が鼻で笑った。
「気の早いやつだ。この部屋は確かにココロの最奥部だが、ここ全体が核というわけじゃない。核は、これだ」
これ、と示されたのは黒い直方体だ。
長辺1,800mm×短辺550mm×高さ1,200mmと、おおよその寸法を目測する。