LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
祥之助の涙目に黄金色が宿っている。
怨《うら》みの感情は、淀んだ黄色。この色が、まさしくそれなのか。
「ボクは、負けてはならなかったんだ。それなのに、おまえがいた。おまえさえいなければ……!」
「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。ぼくもね、きみのわがままに振り回されるばかりじゃいられないんです」
言いながら、ぼくはすでに祥之助を見ていない。
眠るリアさんを、透明な蓋越しに見つめている。
イヌワシが蓋の隅に降り立った。
生意気な目を閉じて、じっと動かなくなる。
直方体のあちこちに手のひらで触れてみた。
冷たい。
軽く叩いてみる。
結晶の集合密度が高いようで、音が響かない。びくともしない。