LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―

「あなたに触れるための鍵を、ください」



祥之助の頭が天井に接した瞬間。


ゴッ!


鈍く硬い音がした。



痛みに呻きながら、祥之助が床に落ちてくる。


黄帝珠が、チカチカと、せわしなくまたたく。



【バカな! 通り抜けられぬだと!】



黄帝珠が祥之助を光で包んで持ち上げた。


再び天井に近付いて、ガツン、と凄まじい音が鳴る。


祥之助ともども、黄帝珠は再び落ちてくる。



祥之助がぶつかる瞬間、天井や壁が発光したのがわかった。


室内を舞う各色の光も、さっきより明るくなっている。



「リアさんの意志か?」



ココロを閉ざして、祥之助を逃がさないようにしている?



ぼくはハッとしてリアさんを見た。


でも、横たわるリアさんは、まぶだを閉ざしたまま動かない。


目覚めるどころか、呼吸の気配すらないのも相変わらずだ。


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