LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「事件が起こるよ。きっと、すぐに」
大都高校は、全国有数の高偏差値を誇る男子校だ。
授業料が極端に高いことでも有名で、世間的にはエリートでセレブというイメージらしい。
全国から選りすぐりの成績優秀者が集まるから、ほとんどの生徒が寮に入っている。
ぼくも遠方の出身だけれど、寮暮らしではない。
あんな牢獄、絶対にごめんだ。
実家はありふれた中流階級だった。
両親はエリートなんかじゃなかった。
大都高校のバカ高い授業料は、全額返済なしの奨学金でまかなっている。
奨学金の出資者の屋敷が、ぼくの下宿先だ。
いや、居候先というのが正しいか。下宿代を払っているわけではないから。
今日は友人と外で夕食を済ませてから、居候先の屋敷に戻った。
四月半ばになっても、朝晩は肌寒い。
けれど、ぼくの移動手段は二本の脚やローラースケート。すぐに体がほてってくる。
少し気温が低いくらいでちょうどいい。