LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
【さあ、どうしてくれようか? すでに時間切れだ。魂珠の迷宮が崩壊を始める。
その内側に閉じ込められた異物もろとも、狂い始める。唯一、我が精神のみは、人間ごときのココロの作用など受けぬがな】
「それでも、きみがここから出られないことに変わりはないでしょう?」
【ほう、生意気な。我に不可能があると思うておるのか】
「思ってます。リアさんがきみ程度の小悪党に屈するなんて、想像がつきませんしね。ジタバタしてみたらどうです? 祥之助の生命力が尽きるのが、きっと先ですよ」
【こざかしい!】
黄帝珠が叫んだ瞬間、衝撃波が吹き荒れた。
イヌワシが翼を広げて、ぼくとリアさんの核を守る。
ピシピシと音を立てて、部屋じゅうにひびが広がる。
衝撃波を受けた懐中時計が、ぼくの足下に転がってきた。
文字盤が完全に暗い。
黙ってそれを踏み付ける。
足の下で、硬いはずの懐中時計は呆気なく砕けた。