LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


屋敷のセキュリティはハイレベルだ。


だからこそ、正しくない方法で門を突破するのがぼくの趣味だ。



背の高い塀に仕掛けられた防犯カメラは死角をなくすべく計算されてはいる。


けれど、ぼくがこの目でチェックすれば、実は盲点があるものだとすぐに露見する。



「北西角は、上がガラ空きですね。あれなら、ドローンで簡単に侵入できる」



塀の長さと高さに比して、カメラの数が不足している。


後で報告しておこう。



思い切り助走をつけて跳躍し、立木と壁を塀を蹴って高さを稼ぎ、庭に降り立つ。


すると今度は、赤外線センサーが侵入者を待ち構えている。



でも、赤外線センサーは「線」に過ぎない。


その軌道が見えるぼくには、一定の「面」を見張るカメラより楽な相手だ。



「一般的な侵入者の身体能力では、クリアできないだろうけどね」



視界に現れる数値を活かし、物理学的に計算して最も無駄のない動線で、身体を制御する。


ぼくにはそれが可能だ。


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