LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
この鍵が合うんだろうか?
ぼくの想いが創った鍵穴で、本当に箱の蓋が開くんだろうか?
蓋を開けるのがぼくでも、リアさんは目覚めてくれるんだろうか?
鍵を穴に挿し込む手が震えた。
【お願いします】
挿し込む。回す。手応えがある。
持ち上げようとして透明の蓋に触れると、それは一瞬で蒸発した。
「リアさん」
触れても、いいんだろうか。
すきま風はまだ吹いている。乾いた風が冷たい。
リアさんの体も冷えているんじゃないかと思った。
「リアさん」
触れたいと思った。温めたいと思った。
黒衣の肩のほうへと、手を差し伸べる。指先で、そっと。