LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


この鍵が合うんだろうか?


ぼくの想いが創った鍵穴で、本当に箱の蓋が開くんだろうか?


蓋を開けるのがぼくでも、リアさんは目覚めてくれるんだろうか?



鍵を穴に挿し込む手が震えた。



【お願いします】



挿し込む。回す。手応えがある。


持ち上げようとして透明の蓋に触れると、それは一瞬で蒸発した。



「リアさん」



触れても、いいんだろうか。


すきま風はまだ吹いている。乾いた風が冷たい。


リアさんの体も冷えているんじゃないかと思った。



「リアさん」




触れたいと思った。温めたいと思った。


黒衣の肩のほうへと、手を差し伸べる。指先で、そっと。


< 352 / 415 >

この作品をシェア

pagetop