LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


突然。再び。


ざらつく不快な声が轟いた。



【玄武、おのれぇぇぇええっ!】



怨みの本質を剥き出しにした黄帝珠が立ち上がっている。


愚かな存在だと感じた。


けれど、きっと誰のココロにもあれがある。


わずかなりとも怨まない人間は、いないに違いない。



醜い感情ほど簡単に肥大化していく。


善なる人間ほど嘘くさいものはない。


人がいかにあるべきか、その理想の値なんて測れない。



でも、黄帝珠、おまえは美しくない。


均衡の上に、法則に従って、すべては存在するから。


因果の天秤の崩れた均衡は、必ず正されるべきだ。



黄帝珠が、祥之助の右手に獣の爪を生やした。



【殺して乗っ取ってくれるわッ!】



空を切って黄帝珠が突進してくる。


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