LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
ココロの滞在時間が、そろそろ長すぎるんだろう。
リアさんにも負担が掛かっているはずだ。
早くリアさんを目覚めさせて、異物であるぼくたちは外に出なければ。
冷たいすきま風に乗って、天井や壁の破片が降ってくる。
ぼくは目を開けた。
リアさんが横たわる箱のそばに膝を突く。
おとぎ話の王子だなんて、そんなロマンチックなもの、柄でもない。
でも、王子が姫にキスをした理由が、今は少しだけわかる。
だって、いざこの場面に立たされると、言葉が出てこない。
ぼくはリアさんの冷えた手に触れた。
自分の手が温かいのだと知った。
リアさんの右手をそっと持ち上げる。
手の甲にくちづけを落とす。
声にならない声で、ささやく。
目を覚ましてください、リアさん。
次の瞬間、すべてが光に染まった。