LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
女の子は、屋敷の主の愛娘だ。
平井さよ子さんという。
黙っていれば、お嬢さま然とした黒髪色白の美少女だ。が、一瞬も黙っていない。
襄陽学園高校に入学して約半月になる。
襄陽に通いやすいこの屋敷に住むようになって、同じく約半月。
平井家の本宅は隣の県にある。
広大な敷地面積を持つこの屋敷は、別宅の一つに過ぎないらしい。
さよ子さんはよく動き回って、誰とでも気兼ねなく話をする。
屋敷の雰囲気が、あっという間に変わった。
明るくなったというか、何というか。
ハッキリ言うと、さよ子さんはにぎやかすぎる。
もっとハッキリ言うと、さよ子さんはうるさい。
さよ子さんは最初、目を輝かせてぼくにまとわり付いてきた。
本人曰く、「イケメンには無条件に惹かれるお年頃」なのだそうだ。
一生続く「お年頃」だろう。
どんなに美少女でも、年下のうるさい女の子には興味がない。
ぼくはさよ子さんから逃げ回った。