LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
今、さよ子さんは別のイケメンに夢中になっている。
助かった、と思ったら、甘かった。
「海牙さん、髪が伸びすぎです!」
憧れの対象ではなくなった一方、プロデュースの対象になってしまったらしい。
顔を合わせるたびに、髪形や服装のチェックが入る。
お節介なこと、はなはだしい。
「そのうち切りますから」
「髪が目に掛からないスタイルにしてくださいね。そっちのほうが絶対に似合います!」
「はいはい」
「制服のボタン、上まで留めたら堅苦しすぎるかも?」
「ぼくには、カッチリ着るほうが合うんです」
首や肩まわりを服の形でごまかさないと、撫で肩が目立つ。
けっこう本気でコンプレックスだ。
立ち居振る舞いは理想の数値どおりに調整できるけれど、骨格は無理だから。