LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―

「きみがぼくたちと約束したこと、肝に銘じていますよね? 次があったら許さねえ。おれたちに危害を加えた場合、てめぇ、死ねよ」



祥之助の中に打ち込まれた号令《コマンド》の楔《くさび》を、理仁くんの言葉のままに、ぼくはなぞった。


楔が反応したのが、玄獣珠を通じてぼくに伝わってきた。



「阿里先輩……」


「覚えてますか?」



祥之助は顔をこわばらせて、かぶりを振った。


制服の胸をつかんで、苦しげな呼吸に、肩を上下させる。



「覚えてない。でも……」



ぼくはニッコリと、完全無欠の笑顔を作ってみせた。



「思い出さないほうがいいですよ。死にたくないのなら」



怯《おび》えた顔の祥之助をそこに残して、ぼくはきびすを返した。


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