LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
部屋で自撮りした写真だ。
鏡台に頬杖を突いて、鏡を利用して撮ってある。
画面全体のトーンが均一だから、明るさ以外の加工はされていないはずだ。
視線がいたずらっぽい。
唇は軽く尖らせてある。
柔らかそうに白い肌。
淡いオレンジ色のノースリーブは部屋着だろうか。
鎖骨の形がキレイだ。
胸の膨らみが布地を持ち上げる稜線のしわは、平面上の画像なのに、ひどく立体感がある。
「おい、海牙? 固まってるけど、何があった?」
言葉にならない。
画像ひとつが、こんなにも嬉しくて。
きっと、この心はこれでいいんだ。
方程式でも理論でも、無駄なくシンプルなのが最も美しい。
阿里海牙は長江リアに恋をしている。
そのシンプルな事実はバカバカしいけれど美しいと、ぼくは思った。