LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「自分で成し遂げた功績でもないのに、祝う? まずその時点で、誕生日というものの意味がわかりません。祝うなら、親たちが勝手に祝えばいいだけの話です」
これ、十八歳の秋ごろの、海牙くんの名ゼリフ。
海牙くんの友達はみんな、彼の誕生日を訊くのに苦労していた。
最終的には、クリスマスにわたしがばらしちゃったんだけど。
どちらにしても、イヴはみんな予定が入っている。
毎年、海牙くんの誕生日を当日に一緒に祝うのは、わたしだけだ。
今年で三回目。海牙くんは今日で二十歳になった。
海牙くんが通う国立大学は、高校時代の町から各駅停車で二時間ちょっとのところにある。
わたしは彼の大学のそばにヘアサロンを開いた。
一緒に住んでいるわけじゃないけど、ほとんど毎日、顔を合わせている。