LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
海牙くんが唐突に、わたしの手を初めて握った。
「もう一度言います。これで最後です。待たされるのも、はぐらかされるのも、苦しくて耐えられないから。もしも断られたら、二度と会いません」
ダークグリーンの目が、じっとわたしを見つめた。
そして、まぶたが閉ざされた。
海牙くんの手は震えていた。
見えすぎる目をあえてふさいで、計算も策略もかなぐり捨てて、海牙くんは一生懸命な声でささやいた。
「ぼくはリアさんが好きです。だから、お願いします、ぼくと付き合ってください」
わたしはうなずいた。
「はい。よろしくね。わたしも、きみのことが好き」
その瞬間、海牙くんはギュッとわたしを抱きしめた。
それから、自分の行動に驚いたみたいに、ふわりと腕の力を緩めた。