LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
リアという名前は、琳安と表記すること。
でも、当て字っぽいから嫌いだということ。
カタカナで書かれるほうが気に入っていること。
そんな雑談をして、トークを終えた。
髪は、サロンが休みの月曜の夕方に切ってもらうことになった。
「おやすみ、また明日、か」
スタンプのメッセージを読み上げてみる。
リアさんの年齢、いくつなんだろう?
十歳近く離れていると思う。
リアさんの弟の理仁くんは、ぼくと同い年だ。
十七歳なんて、かなり子どもに見えるだろう。ちょっとへこむ。
目を閉じてみる。
処理すべき情報が遮断されて、静かだ。
ああ、そうか。電話すればよかった。
目を閉じて声だけを聞いたら、ぼくは鮮やかに彼女を思い描けたのに。
「明日、そうしようかな」
セリフを考えておこう。からかうような、生意気なセリフを。
リアさんを驚かせたり慌てさせたりしてみたい。
この手で何気なく彼女のピアスに触れた、あのときみたいに。