LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
近所の住人が警察と保健所に届けを出したらしい。
その件について学校にも通達が来たのは、犯人探しが始まったからだ。
警察は何かの薬物だと疑っているようだった。
高校生が関与した犯罪ではないか、とも疑っている。
「でも、化学物質ではないですよ、やっぱり」
「放心状態の動物を調べたときと同じか?」
「ええ。その気になって目を凝らせば、呼気に含まれるアルコール濃度だって、ぼくのチカラで観測して算出できるんです。
そういう化学的な異常は、問題となっている放心状態の対象からまったく感じられない」
眉間にしわを寄せた瑠偉が、声を潜めた。
「サイエンスじゃ解決できないとなると、きついな。おまえがじっくり見ても、おれがプログラム走らせても、解析不能。
でも、現象は確かに目の前に存在する。この現象についての情報をどう処理していいものやら」