LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
科学的に解明されていない現象は、身近にたくさん存在する。
例えば、「コップに入った水の表面で、水分子は上を向いているのか、下を向いているのか?」というテーマ。
分子レベルになると、モノそのものは、ぼくの目にも見えない。
ぼくも瑠偉も凝り性で、総統からは「謎があれば解けるまで考え続ける研究者気質は見事なものだ」と、呆れ半分に誉められる。
でも、その実、ぼくたちは謎を放置することにも、ある程度は慣れている。
そうじゃなきゃ気が狂う。
ただ、放置しづらい謎もある。
放置できるかできないかの基準は、たぶん、サイエンスという枠組みを超えている。
倫理的な、あるいは生理的な、もしくは感性的な基準があるように思う。