LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「その考え方には同意しますが、いきなりケンカ腰で命令されるのはいただけませんね。
ぼくのような天邪鬼《あまのじゃく》を前に、きみの態度は最悪に愚かしいふるまいだと忠告しておきますよ」
瑠偉がため息交じりに言った。
「おまえこそ、口調だけソフトでも、ケンカ腰じゃないか。いちいち過激なんだよ、海牙は」
祥之助が目を剥いてのけぞった。
弾んだ前髪の動きが妙に硬いのは、ワックスでも使っているんだろうか。
そういえば、眉の形も整えてあるし、香水のような匂いもする。
オシャレに手間をかける人間が大都高校にいるなんて、ちょっと想像できなかった。
何せ、のっぺりしたグレーの詰襟をキッチリ着るせいで「墓石」とからかわれるのが、伝統的で典型的な大都高校の生徒だ。