LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「海牙って、おまえが、あの阿里海牙?」
「フルネームの呼び捨てとはまた失敬ですね。まあ、何にせよ、ぼくのことをご存じでしたか」
「知らないはずがないだろう。ボクはずっとずっとずっと……」
祥之助の両目に光が宿った。
黄色い光、みたいなものが。
玄獣珠がドクンと激しく鼓動する。
瑠偉がハッと顔を上げる。
ざらざらとして低い声が祥之助の口から染み出した。
【ずっとずっと、我は、汝《なんじ》らを怨《うら》んできた……】
祥之助の口が動いた。
声変わりしたばかりの細い声が言った。
「おまえを怨んでいる。こうも立て続けに屈辱を与えらえたのは初めてだ。許せない」
「怨む? 何のことです?」
ブラウンの目がぼくをきつくにらんでいる。
玄獣珠は反応しない。