LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
十九時ちょうどに玉宮駅の北口広場に到着した。
さよ子さんに、いきなり苦情をぶつけられる。
「十分前行動! 女の子との待ち合わせは、早めに着いておくべきです!」
「迷ったんです。すみませんでした」
「誠意のこもってない謝罪、ひどい!」
でしょうね。こめてませんから。
キャンキャン吠え続けるさよ子さんの小言を聞き流して、ぼくは、さよ子さんの隣に立つ人を注視した。
色白で小柄な女の子だ。
長い黒髪に、目の形は典型的なラウンド・アイ。
白目に対して青い虹彩が大きい、いわゆる「つぶらな目」の美少女だ。
でも、問題は顔立ちじゃない。
彼女の胸元にチカラを感じる。
異次元的で計測不能なエネルギー。
無機物でありながら、鼓動に似たリズムで、光のようなものが収縮する。
あれは間違いない。
ぼくの胸の上で、玄獣珠が静かに鼓動を速めている。