LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


玉宮駅の北口広場は、ストリートライヴのメッカらしい。


十六歳以上で市の許可を取っているならば、二十一時まで演奏が許されると聞いた。



さよ子さんたちが押さえていた場所は、最前列ではなかった。


ヴォーカリストの正面、およそ十メートル離れた位置にある外灯の下だ。


外灯の土台が花壇を兼ねて一段高くなっているから、縁のブロックに登れば、人の頭越しにバンドメンバーの姿が見える。



ハイテンションに飛び跳ねながら手招きされたので、ぼくもさよ子さんたちの場所に合流した。


花壇の下に立って、さよ子さんに尋ねる。



「もっと前に出ないんですか?」


「このあたりで聴くのが、いちばんキレイに聞こえるんです!」


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