LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


ヴォーカリストは、銀色の髪、琥珀色《アンバー》の目。


左右で誤差の少ない、意表を突かれるほどに端正な顔立ちだ。


銀髪の隙間からチタン合金製のリングのピアスがのぞいている。



ああ、なるほど。


彼が話題の人か。



四獣珠の預かり手の、最後の一人。


Tシャツの内側に隠したペンダントが、白く冴える光のようなものを発して、ひそやかに脈打っている。



ぼくの観察は、しかしそこで、彼の声によって阻まれた。


出だしからのいきなりのサビに揺さぶられた。



 モノクロな感情世界に どうか

 小さな光が降ります様に



サイトで読んだ詞だ。


銀髪の彼が書いているらしい。


彼の名前は、伊呂波煥《いろは・あきら》。ぼくより一つ年下。


さよ子さんと鈴蘭さんのお目当ての人だ。


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