LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


 哀しみの色は黒

 眩《まぶ》しすぎる光に怯《おび》える僕に

 寄り添う影と同じ色


 哀しみよ

 いつでも君がいてくれるから

 孤独じゃないんだ

 喪《うしな》ったことが哀しいのは

 大事なものを喪ったせいだ


 モノクロな感情世界で迷子の僕が

 置き忘れてきた涙


 大事なものがあったんだと

 大事に思う心があったんだと

 黒い影の哀しみに寄り添われて

 僕はそれを知る


 一人でいても孤独じゃない



不思議な声だ。


甘い声ではない。深い声でもない。明るい声でもない。


そんなふうに簡単に「モテる声」として記号化できる声ではない。



しなやかに伸びる声だ。


澄んでいて、少し硬い声だ。


空気が一切の抵抗を放棄して彼に従って忠実に振動してみせるかのように、張り上げてもいない声がどこまでもよく通る。



ぼくは目を閉じた。


歌声にいざなわれて、音だけの世界へ連れ去られる。


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