LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
目を閉じて、知覚し得る情報の量を落として、暗がりの中で自分自身をのぞき込む。
心地よい音楽は、ぼくが無防備になることを許している。
肩の力が抜ける。
モノクロな感情世界で手を繋いで
孤独じゃない一人と一人で
混じらない様に 濁らない様に
忘れない様に こぼさない様に
別の色の感情を探しに
僕達は歩き出す
喜びの色は 空の色と丘の色
楽しさの色は 花の色と夕日の色
捕まえたら壊れるから
そっと見つめるだけ
モノクロな感情世界にいつか
小さな虹が架かる様に
曲の余韻の中で、さよ子さんに呼ばれた。
「海牙さん?」
ぼくは目を開ける。正直に言った。
「いいですね、彼らの音楽」
「海牙さんの普通の笑顔、初めて見た! いつももっと計算高そうな笑顔ですよね!」
「本人の前でその言い方をしますか」