LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
不自然な沈黙が落ちてしまった。
ぼくは浅い息をして、体をこわばらせたまま言った。
「すみませんが」
「何?」
「動いてもいいですか?」
「ダメ」
「……あの」
「冗談よ。ゴメンね、急に。きみの横顔を見てたら、どうカットしようかなって楽しみになって。今度の月曜、できれば私服で来てね」
当然のことだけれど、髪に神経は通っていない。
だからぼくはリアさんの指の感触を知覚したわけではないのに、変だ。
髪のあたりからふわふわと発熱するようで、息が苦しい。
「服はヴァリエーションがなくて。モノトーンしか持ってません」
「無難すぎ。派手な色でも着こなせそうだし、かわいいと思うわよ」
「かわいいって」
ぼくはそんなタイプじゃないのに。