LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
それが訓練された戦闘集団なら、ぼくが脅威を覚えることもなかった。
そういう職業の人々なら、KHANの屋敷で見慣れている。
ぼく自身が彼らのトレーニングに加わることもある。
そこにいる人々は、間違いなく生きて自立歩行しているのに、生きているように見えなかった。
生気も正気も吹き飛んだ、空っぽの表情。
まともに動けるはずのない呼吸と脈拍と体温の数値。
「酔っ払ってんのか?」
煥くんのつぶやきを、理仁くんが否定した。
「違うね。一種のマインドコントロールだ。でも、ただ操ってるのとも違いそう。何だあれ?」
彼らは夢遊病めいた足取りで、こっちへ向けて歩き出した。
男も女も、おおかたが裸足だ。
自分の姿に頓着《とんちゃく》できない状態なのか、下着のような格好の人もいる。
異常な光景だった。
駅前に居合わせた人々は、言葉を呑んで立ち尽くしている。