キミに…Kiss

───キィーッ…


その時、1台の黒のワンボックスカーが駐車場に入ってきた。


それを見た途端、声を失う。


その見馴れた車に乗っているのは見間違えるはずもない…



───兄の翔(しょう)で



ドアを締めると、俺の姿に気づいた2人が肩を並べてこっちにやって来る。


その時、一瞬 翔の薄茶色の髪の毛が夕日と重なって思わず目を細めた。



「……陸」


「おっ、陸じゃねぇか?久し振りだな」



なにもわかってない翔と俺を見て驚いている美華。


対象的な2人のその反応。


それを見て、すぐに俺は理解できた。



美華が俺に会いたくなかったってことを──・・・

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